博報堂DYメディアパートナーズ・メディア環境研究所の「メディア定点調査2024」や、NHK放送文化研究所の「2023年 国民生活時間調査」を見ると、メディア接触に関する新しいトレンドが浮かび上がっています。
まず、メディア総接触時間は引き続き高い水準にあり、特にスマホ経由での接触が伸びています。しかし、いわゆる「リアルタイムでのテレビ視聴」は年々減少傾向にあり、特に16〜24歳の若年層では「1日にテレビを全く見ない」割合が5割を超えています。
一方で、TVerやABEMA、YouTube公式チャンネルなどを通じた「テレビ番組由来コンテンツ」への接触は依然として根強く、視聴スタイルが「テレビ受像機で観る」から「ネット経由で観る」にシフトしているだけとも言えます。
実際、若い世代と話していると、「面白い動画を見た!」と言うので詳しく聞いてみると、元は地上波で放送されたバラエティ番組の切り抜きだった、ということも珍しくありません。
このように、テレビコンテンツの影響力自体は今なお健在であり、配信プラットフォームやSNSを通じた二次利用が主流になってきているのが今のトレンドです。
また、私の友人が販売している文房具も、地上波の情報番組で紹介された翌日にAmazonや楽天で爆発的に売れたと話していました。
このような事例からもわかる通り、「単純な視聴時間」だけでは測れないメディアの影響力が存在しており、**「テレビ×ネット連携」「動画マーケティング」**といった領域が今、非常に注目されています。
これからテレビ業界を目指す人へ
現在のテレビ業界は、単に番組を作るだけではなく、
- TVerやYouTube公式での展開を見据えたコンテンツ制作
- 番組コンテンツの短尺編集・SNS拡散戦略
- 配信プラットフォームとのタイアップ企画
- データ分析を活用した番組改編やプロモーション施策
など、デジタル・マーケティング的な視点が求められる場面が急速に増えています。
もし今、テレビ業界への転職を考えているなら、
「テレビ制作」「編成」だけでなく、「配信」「プロモーション」「デジタルコンテンツ運用」といったキーワードにも興味を広げると、キャリアの幅がぐっと広がるはずです。
特に、若い層へのリーチ施策に強い人材、SNS運用に知見がある人材は、テレビ局や制作会社でも今後さらに重宝されるでしょう。
【参考】これからチャンスが広がる職種・ポジション例
✅ コンテンツプロデューサー(テレビ×配信対応)
テレビ番組を制作しつつ、配信版コンテンツも同時にプロデュースできる人材が求められています。
✅ デジタルマーケティング担当(テレビ局・制作会社)
番組公式SNS、YouTubeチャンネル、TVerの告知など、クロスメディアでのプロモーション施策を担当します。
✅ 映像編集・ショート動画クリエイター
バラエティやドラマのワンシーンを「短尺編集」し、TVerやSNS向けに最適化する仕事。カット編集やテロップ制作スキルが活かせます。
✅ リサーチャー・データアナリスト(メディア業界向け)
視聴データ、SNSバズ分析、配信回数分析などを行い、コンテンツ改善や編成戦略にフィードバックする役割も重要になっています。
【これから身につけたいスキル】
- Premiere Pro、After Effects などの動画編集スキル
- Photoshop、Canvaなどの簡単なバナー制作スキル
- SNS運用知識(X、Instagram、TikTok運営経験)
- YouTube・TVer配信に関する基本知識
- Google AnalyticsやYouTubeアナリティクスなどのデータ分析ツール活用
- 「面白さ」「話題になりやすさ」を意識したコンテンツ企画力
テレビ業界だからといって、必ずしも「テレビ局勤務」である必要はありません。
今後は、制作会社・広告代理店・ネット配信会社なども視野に入れて、「広い意味でのメディア業界」を見据えた転職活動がカギになりそうです。
まとめ
リアルタイム視聴は減少していますが、「テレビコンテンツ」そのものの影響力はむしろ進化を遂げています。
この変化のタイミングこそ、テレビ業界にチャレンジする大きなチャンス。
これからのテレビ業界を作っていくのは、ネットにも強い、新しい感性を持ったあなたかもしれません。